そしてそんな状況の中でスウェーデン民主党はキャスティング・ボートを握っている。そこで有力な政権をなかなか組めない状況になっています。 社会民主党のステファン・ロヴェーン(Stefan Löfven)さんはとりあえず首相として残っています。 エストハンマー(Östhammar)という約22000人の小さな自治体に何回も日本からの視察客を連れて行っています。ストックホルムから少し北、バルト海の海岸に位置しているこの自治体はスウェーデンの原発のすべての使用済燃料の最終処分場をつくる予定地になっています。スウェーデンの原発から出る使用済燃料を管理しているSKB社は1970年代から最終処分場の最適な場所を探し、調査してきました。SKB社はようやくエストハンマー市を選ぶことになり、エストハンマー市は25前からその受け入れを検討してきました。そして、エストハンマー市議会は2020年10月13日、38人賛成、7人反対、3人棄権、1人留守で最終処分場を受け入れることを正式に決定しました。, これは歴史的で世界的にも珍しい決定でしたが、コロナ禍の中だったからか、国際的にあまり注目されなかったようです。コロナ対策のため、一部の議員は自宅からオンラインで参加していました。会議が全部ネットで放送され公開だったので私も自宅でその様子を見ることできました。13日の市議会は最終処分場の1議題のみのために特別に開催されたが、多くの議員の発言や案件についての修正案、説明や採決で3時間ほどかかりました。見ていると市議会のごく普通の会議に見えてあまり特別な感じではなかったです。, 最終処分場の立地は複雑なプロセスですが、スウェーデンがずっと主張してきたことのひとつは、住民の意見を尊重し、民主主義のプロセスを重視して進めることです。法律上、政府は地元の反対を押し切ってでも立地を無理矢理に進めることは可能ですが、スウェーデンはオーペンなプロセスで疑問ひとつひとつ解決して信頼関係をよく築いた上で前向きに受け入れてもらう道をずっと選んできました。そのため立地を決めるプロセスに受け入れの自治体が「NO」と言える拒否権(veto)があります(環境法典)。今回の決定はその拒否権を最終的に放棄するというものです。, 最終処分場建設は土地環境裁判所とスウェーデン放射線安全機関(SSM)、2つの専門機関の許可が必要です。その上に政府の許可も必要です。そして政府は立地自治体の同意なしには許可しないことになっています。しかし自治体の決定、政府の決定、その順番ははっきりしないようです。自治体は政府が「受け入れますか」と正式に聞いて来るのを待っていればよいと主張する議員がいました。しかし、受け入れ推進の議員は、自治体は25年間もこの問題を検討していて、経験や智識が十分にあり、多くの疑問が解け、十分に納得しているから自信をもってこの時点で決定できると主張しました。最後の納得のひとつは、最終処分場を作るSKB社の仕事が完全に終わった時、会社として存在しなくなった時、処分場に関する責任がスウェーデン政府に移行するということが2020年6月に明確に決まったことだそうです。少なくとも70年先のことです。, エストハンマーは、受け入れに対して国からもっとたくさんのお金などをもらうべきで、政府と交渉すべきだと主張する議員もいましたが、受け入れ推進派の議員はきっぱりと「買われたかたちで受け入れたことにしたくない」と反論しました。, 実はエストハンマー市議会がこの決定をする前に住民投票を行う予定もありました。日程も2018年3月4日に仮に決まっていました。その時点で土地環境裁判所もスウェーデン放射線安全機関(SSM)も許可を出しているはずでした。しかし環境裁判所は申請内容にまだ不十分な部分があると判断してまだ許可していませんでした。そのため、まだ住民投票ができるような状態ではないということで中止になりました。スウェーデンの住民投票は法的拘束力がなく、顧問的なものですが、市議会が住民投票の結果に従うことが常識になっています。そして2020年6月9日、市議会は、住民投票は不要だと判断して実施しないことを決めました。, スウェーデンのコロナ対策が国際メディアで注目されています。各国が次々とロックダウンを決める中、スウェーデンは外出の禁止をしていません。なぜでしょう。, 実は、国内を自由に移動することは憲法で保護されている市民の権利です。政府は市民を家に閉じ込める政策を簡単に取ることできません。スウェーデンの憲法は日本と違って、4つの文書で構成されています。その1つは「Regeringsformen」と言います。英語ではInstrument of Government と言いますが、国の統治に関する文書です。この文書はほかの国の憲法に一番似ているそうです。ほかの三つの文書は王位継承、出版の自由、表現の自由に関するものです。, 統治に関する「Regeringsformen」第2章には基本的な自由と権利について書かれています。その第8条には移動の自由について書かれています。「スウェーデン国籍をもった市民は、国内を自由に移動する権利、また、国を出る権利が保証されます。」, その場合、明確な目的をもって、自由な世論形成の障害にならない、民主主義社会の枠内にとどまるという限られたかたちの制限しかできません(第2章第20条、第21条)。, 強制的なロックダウンの代り、スウェーデンの政府や公的機関は個々の自己責任に訴えています。スウェーデンは徹底的な個人主義の社会です。日常的にも自己責任がよく強調されます。今は交流を押さえるよう、人と人の間に距離をおくよう、70才以上の人は家庭以外の人と一切接触しないよう、などの指示をしています。スウェーデンらしいやり方だと思います。, 政府はこの中で外に行かないようと言っていません。逆に運動するのが健康によい、自然に触れるのもよいから、是非、人と人の距離を維持しながら出かけてくださいと言っています。スウェーデンは都会でも、公園や自然が割と近いです。, 市民を閉じ込めれば、皆の運動が少なくなります。国民の健康に悪影響が出ます。精神面にも悪い影響があります。孤独や家庭内暴力が増える恐れもあります。スウェーデンは比較的に低い人口密度とたくさんの自然に恵まれています。そのためにほかの国と違った対策が取れるし、スウェーデンの特徴の1つだと思います。, 自分は、仕事もミーティングも全部延期になっているから旅行したり、出かけたりする理由も今ほとんどないです。ウプサラ(Uppsala)の自宅は自然や公園に近い、そして今は春が来ています。コロナ危機の今も毎日自由に散歩できるのがとてもありがたいです。, 私が住むウプサラ市は、今年9月の総選挙の数週間前から投票率をあげる狙いで「民主主義大使」を採用しました。私も約25人の1人として投票率を上げる活動をしてみる機会を得て、面白い経験でした。結果を見てその民主主義大使の活動によって、投票率は本当に上がったでしょうか。, 背景にある問題は、選挙区の間に投票率の大きな違いがあることです。民主主義大使プロジェクトの狙いの1つは、投票率の低い選挙区の投票率をあげることでそのギャップを縮めることでした。具体的な目標としてそのギャップを3%減らすことでした。投票率に影響を与える要因がたくさんあるので、因果関係を把握することが難しいです。それでも前回(2014年)の選挙と今回(2018年)の選挙の投票率データで投票率の変化を確認してみました。, 同じ日に国会、県、市の選挙があったが、ここはウプサラ市の結果を見ます。市全体の投票率は85.18%から86.40%に、1.22%上がりました。そして2014年、一番投票率の低い選挙区を確認しました。Sydvästra Valsätra選挙区は今回も一番投票率の低いところでした。, . 4年に1回しかない、スウェーデンの民主主義を知るこの絶好の機会にスウェーデンに来てみませんか。選挙キャンペーン、ディベート、 教育、メディアのあり方などを日本と比較しながら市民の視点で紹介していきます。現地での視察プログラムの全行程にガイド・通訳として同行します。 スウェーデンと私の住む町ウプサラへようこそ! Enter your email address to follow this blog and receive notifications of new posts by email. 2014. に区別した。社会民主主義レジームのモデル国家は北 欧諸国に代表される福祉国家になる。福祉の供給は国 家が中心的な役割を担う。社会保障の範囲は幅広く, ベネフィットは手厚い。自由主義レジームのモデル国 家はアメリカになる。 大阪教育大学名誉教授・二文字理明さん。「スウェーデンに観る個性重視社会」(桜井書店)など著書多数。, 今、この国の民主主義が大きく揺らいでいます。背景には何があり、どうしたらよいのか。それを解明する1つの視点として、コープ自然派奈良では、2019年3月7日(木)、二文字理明さん(大阪教育大学名誉教授)を招き、スウェーデンの民主主義・教育・福祉について語っていただきました。, 二文字さんについて紹介するコープ自然派奈良・辰巳理事長。二文字さんの人柄にもすっかり魅了されたとのことです。, コープ自然派奈良では昨年の第16回通常総代会で「民主主義を守りたい」を特別決議しました。その内容は、原発再稼働、米軍基地、軍事増強と社会福祉の切り捨て、解釈改憲、秘密保護法制定、種子法廃止、TPP参加などが十分な論議がされないまま決められていることに対して、一人ひとりが大切にされる社会を未来に手渡したいとの決意を込めたものです。民主主義が根本から揺らいでいる今、社会の軸は本来どうあるべきなのかをスウェーデンとの比較をもとに考えようと学習会は企画されました。, 二文字さんはスウェーデンにおける民主主義とは、「すべての人は同じ価値があります。子どもも大人と同じ価値を持っています。すべての人には、社会に参画し社会を良くしていこうという権利があります。すべての人には、意見を表明する権利を常に持っています。望むことを実現するためには、同じ意見の人を集めなければなりません」とサッサ・ブーレグレーン(スウェーデンの作家、「10歳からの民主主義レッスン」などの著者)の言葉で定義。民主主義とは国民(市民)一人ひとりが主人公であり、民主主義を担う国民(市民)の育成が必要だと二文字さんは話します。, スウェーデン社会の根本原理は、「自立・自己の確立〈個人主義〉」、「分かち合う福祉〈所得の平等〉」、「社会的弱者の救済と連帯〈相互扶助〉」。福祉思想・理念としては、「脱中央集権化(地方分権化)」「ノーマライゼーション思想」「公正・平等・連帯」などを掲げています。, そして、このような理念を実現するには、それを支える人材育成が必要です。スウェーデンでは基礎学校・高等学校・大学すべて無料。民主主義社会の一員として自分の行動に責任がとれる国民を育てることを学校教育の目標とし、「公正・平等・連帯」を掲げた教育が実践されています。「成人教育の充実」「男女平等教育の徹底」などはスウェーデンの教育の特長ですが、なかでも際立った点として、二文字さんは「リカレント教育」を挙げます。, 就学前教育・基礎学校・高等学校・大学と続く一連の教育制度に対して、スウェーデンでは複数の進学経路があります。例えば、高校卒業時に将来何になりたいかわからない場合は大学には行かず、人生の途中でどうしてもこの仕事に就きたいと思うときに大学に入るというようにやり直しができる体制が整っているのです。これはウーロフ・パルメ(スウェーデンの政治家。2期にわたって首相を務める)が教育大臣のときに積極的に推進し、OECDの1973年の報告書で世界に広がりました。教育と労働の間を自由に行き来できる「リカレント教育」は教育の民主化(公正・平等・連帯)を実現するものでもあります。, また、1955年以降、理科系と社会科系を統合した総合教科としてオリエンテーリング科を設置、スウェーデンで始まったスポーツ競技としてのオリエンテーリングになぞらえて、「自分さがし」を目的としています。具体的には現代社会のホットな問題をテーマとし、性教育、障がい者問題、高齢者問題、移民の問題、アルコール・麻薬中毒問題などの解決について考える中でいろいろな角度から自己を認識していきます。日本では小学校低学年の教科として社会科と理科を合体した「生活科」がありますが、どちらかと言えば周囲の状況にいかに合わせるかが重視されているようです。, 規制緩和・民営化・競争原理という世界的な潮流はスウェーデンにおいても例外ではありません。しかし、高福祉・高負担の福祉国家であるという原則は本質的に変わらず、社会的弱者であっても人間としての尊厳を失うことなく生きていける「生活のセーフティネット」が存在しています。また、日本と大きく異なるのは投票率の高さです。日本の投票率は50%台なのに比べてスウェーデンの投票率は90%、最近はやや低下傾向だということですが、それでも80%を超えていて政治への関心の高さがうかがえます。外国人でも3年間住めば地方選挙では投票できるなど、政治参加への環境も整えられています。, 「民主主義とは定義を掲げるだけでは意味がなく、定義を実現するためにはどのように行動するか、それをどうつなげていくかが大切。そして、普通の人が主人公である社会、国民(市民)一人ひとりが社会をつくるには、それを実現する法律を定めることも必要です」と二文字さん。コープ自然派奈良の特別決議にも触れ、この素晴らしい決議を実現するにはどのように行動するかが問われていると話しました。. World Values Survey: Round Six - Country-Pooled Datafile Version: https://www.worldvaluessurvey.org/WVSDocumentationWV6.jsp. 【スウェーデンの教育】社会に問いを立てる民主主義教育. http://www.riksdagen.se/sv/sa-funkar-riksdagen/. (eds.). さまざまな歴史や風土をもつ世界の国々では、子どもはどんなふうに育つのでしょうか。この連載では、各国の教育や子育てで大切にされている価値観を、現地から紹介。今回は、スウェーデンに住み、環境教育を推進する森のムッレ財団の理事を務める、高見幸子さんに話を聞きました。. 2014 年  2018年   変化, Sydvästra Valsätra選挙区      57.67%  51.37%  - 6.3%, Sydvästra Valsätra選挙区を地図で見ると、Gottsunda(ゴットスンダ)という区域にあることが分かります。ショッピングセンターがあり、多くの移民が住んでいるところです。民主主義大使がよく活動していた対象地域でもあります。周りにいくつかの選挙区があるので、それらの投票率の変化も見てみます。, Gottsunda centrum選挙区     69.68%  71.91%       + 2.03%, Valsätra Spinnrocksvägen選挙区  66.12%      67.23%         + 1.10%, Nordöstra Valsätra選挙区     90.85%        92.90%        + 2.05%, Södra Gottsunda選挙区      75.73%       70.81%          – 4.91%, Mellersta Gottsunda選挙区    67.62%        68.15%          + 0.53%, Gottsunda-Blomdahls väg選挙区        64.85%      65.98%         +1.13%, Norra Gottsunda選挙区      66.36%       65.48%          -0.88%, 今回一番投票率が低かったSydvästra Valsätra選挙区の投票率は、51.37%で、投票率が一番高かったÄrna選挙区の94.13%と比較するとそのギャップは42.76%でとても大きいです!, 2014年の選挙で一番投票率が低かったSydvästra Valsätra選挙区の57.67%と一番高かったSödra Nåntuna選挙区の93.77%を比較すると36.1%の違いでした。, ということは、全体の投票率が上がったし、一部の低いところでは上がりました。しかし同時に低いところでさらに下がることもあり、結果的に、選挙区間の格差が広がってしまいました。, 民主主義大使が活動していなかった場合の結果は分かりません。活動が効果的だったかどうかの結論はなかなか出ません。目標設定がよくなかったのか、評価の方法はどうすればよいか、疑問がたくさん残りました。しかし活動した1人としては有意義だったと感じています。市の担当者もほかの民主主義大使の仲間もそのように感じたようです。, 9月9日の総選挙は終わった。確認を重ねて最終的な結果も出た。開票した夜は普通は次の政権が見えてくるけれど、今回はまったく見えない、複雑な結果になりました。だれが首相になって、どんな内閣ができるかまだまったく見えないところです。, スウェーデンは以前から左ブロック(赤・社会民主党が中心)と右ブロック(ブルー・保守)が競争する政界でした。その2ブロックの間で政権交代するのは普通でした。しかし今はどちらのブロックにも所属しないスウェーデン民主党(SD)が大きくなって、以前のようなブロック政治が崩れそうになっています。, 現政権は社会民主党と環境党の内閣で、左党が閣外協力をしています。この3党で今回、国会の144の議席を確保しました。右ブロックはアリアンセン(Alliansen)と名乗って、保守党、中央党、自由党、クリスト教民主党の4党で構成されています。これらは国会で143の議席を確保しました。スウェーデン民主党は難民の受け入れに反対していて、いろいろな意味でほかの政党から人種差別主義の政党として見られています。ほかの政党はスウェーデン民主党と協力したくない。そしてそんな状況の中でスウェーデン民主党はキャスティング・ボートを握っている。そこで有力な政権をなかなか組めない状況になっています。, 社会民主党のステファン・ロヴェーン(Stefan Löfven)さんはとりあえず首相として残っています。首相の主張は「社会民主党は一番大きな政党で、社会民主党が一番多くの議席をとったブロックをリードしている。だから辞職はしない」。でもより弱い立場になったので、中央党や自由党を呼び寄せようとしています。アリアンセンは、「左ブロックと言っても現政権は社会民主党と環境党だけで構成されていて、それは議席で見るとアリアンセンよりもすくない。だから、首相は直ちにやめるべきだ。逆にアリアンセンの最大党である保守党の党首が首相になって組閣すべきだ」と主張しています。, どんな政権を作れるか、政党間の交渉によることになりました。その間は国民が待っています。スウェーデンテレビが、「自分で政権を作ってみよう」というパズルも提供してくれています。色違いの各政党のブロックを押して引くかたちで好きな組み合わせができる。各ブロックの得票率はわすか0,3%の違いだと分かります。, しかし国会のスケジュールは決まっているので、その1つ1つのステップに合わせて各政党が方針を決めて行くことになります。国会は招集され、9月24日、国会の議長を選びます。9月25日はが国会の開会式が行われます。その後、現首相についての賛成、反対の投票が行われます。, 以下、選挙ツアーの参加者のために作った、各政党の名前とシンボルと党首の顔が分かる資料を掲載します。(最後のフェミニスト党は国会に議席がないですが、私が住むウプサラ市の市議会に2議席をもっています。), スウェーデンの投票率は高いですが、それでも不十分だと思う人がたくさんいます。特に、地域と地域の間に投票率の大きな差があります。自分が住んでいるウプサラ市はそのギャップを少しでも縮めようと、今回の選挙で「民主主義大使」を導入しています。民主主義大使の役割は、投票率の低いグループを主な対象に、投票権や投票の仕方について教えたり、投票を前向きに進めることです。, 4年前の総選挙の投票率はどうだったか、確認しました。まず、各地域で同時に行われる選挙が三つあります。国会、県と市です。2014年の国会選挙の全国平均の投票率は85.81%でした。ウプサラ市の国会選挙においての投票率は88.16%で、全国よりも高かったです。しかしウプサラ市の中の選挙区をより細かく見ると一番高い選挙区は94.90%、一番低い選挙区は63.88%で、30%以上の差があります。, ウプサラ市議会選挙の投票率を見ると、市全体は85,18%でした。この場合、投票できるのはスウェーデン国籍の人だけではないく、スウェーデンに3年間住んでいる外国人も投票できます。そのため、市で投票権があったのは,国会選挙にくらべて6676人多かったです。市の選挙では投票率の一番高い地域は93.77で、一番低い地域は57.67%だったので、36%ほどの違いがあったのです。, 今回のウプサラ市の投票プロジェクトはこの差を3%縮めようとの目標をたてています。6週間の期間で約20人の民主主義大使がパートタイムの仕事として、町の広場、市立図書館、イベントの会場などで投票について情報提供をします。, 自分も民主主義大使の1人とした採用され、いろいろな人に声をかけてみました。国籍がなくても、3年間住んでいれば市と県の選挙で投票権があることを知らない人に出会ったりしました。スウェーデン語の理解がまだ不十分な市民のために、国の選挙管理機関が30カ国の言葉での投票案内を作っています。, 飛行機の込み具合でツアーを1日短縮し、9月6日の出発に変更しました。もちろん早めに到着して観光を楽しむこともできます。何か不安があれば気楽に相談してください。, 2018年9月、スウェーデンは4年振りの総選挙!日本と違って、国会、県議会、市議会のすべてが全国で同じ日に行われます。スウェーデンの投票率は80%以上。日本人がよくびっくるするこですが、スウェーデンの人はそれでまだ不満です。私が住むウプサラ市は市民の中から「民主主義大使」を募って、投票率をもっとあげようと努力しています。. スウェーデン政界のテスラになりたいと考え、新党を結成した人達がいます。既存の政党の仕組みでは政治のあり方を変えられない、政界外部からの新しい動きが必要だという考えです。, 先日ストックホルムで新党の会合があったので参加してみました。名前はInitiativet(イニシアティブ)。デーマークの新党Alternativetという政党からのインスピレーションではじまったそうです。, 新党と言ってもまだマニフェストのない政党です。皆で民主主義を活性化して一緒に新しい政策を作りましょうという誘いで参加への呼びかけをしています。, 会場となっていたのはストックホルムの中心にある、洒落たコーワーキングスペースでした。集まった人は約30人、少し聞いてみる、私と同じく、好奇心をもって、初めての参加の人が多いようでした。男性の党首と同じく設立者の女性のイントロダクションとそれに対する質疑応答の後にさっそくテーマごとのワークショップ。いくつかのテーマを与えられ、私はDemocracy 2.0のグループを選んで、ほか3人の参加者と新党の政策作りプロセスの可能性と課題のディカッションに入った。ほかのグループは労働、教育、移民の社会参加、などのテーマでした。それぞれで取り組むべき課題を打ち出して、後で皆で報告し合って、そしてまた新党結成についての何でも質疑応答。最後は、ネット上の共同作業で政策案を作っているから是非それにも参加してと、フェイスブックページの紹介などで終わりました。帰る前に数名に少し聞くチャンスがありました:「どうだった?おもしろかった?これからも参加したい?」「面白かった、参加してもいい感じ」というのが返事。私も同じ気持ちでした。なにかよく分からないけれど、民主主義や政策議論の活性化にはよい取り組みかもあしれないと感じました。, 自分が行く前に魅力だと思ったのは、民主主義の活性化をしたい姿勢や、「19世紀にできたイデオロギーにとらわれない政策づくりをしたい」主張や温暖化問題をこれからの社会作りの前提にしている様子でした。, 政策方針として何もないと進まないから、政策議論の枠組みとして6つの価値観(キーワード)を基本にしています:オーペン、前向き、共感、共に作る、勇気、行動力。どれもよさそうで多くの人が賛同できる要素でしょう。, では、「政党を作った」は何を意味するのでしょうか。日本なら見ればまずはお金が必要だと思うでしょう。しかし、スウェーデンは国会選挙に政党として立候補するのに、1500人の賛同者の署名を集めるだけで十分です。現在はまだその署名集めに取り組んでいる段階です。, 会合に集まったのはいろいろな年齢の男女で、学齢は割と高いと感じました。ワークショップ方式のミーティングによくなれた人で、技術に前向きで、持続可能性を追求するのは当たり前だと考えている人のような印象でした。, 激しい議論で対立するよりは、スウェーデン社会の共通のヴィジョンを描いて、共通の課題に取り組んで、一緒に解決方法を探って、前向きに進む。そんな姿勢をもつ政党でありたいということでした。, 選挙はことし9月です。まず掲げているヴィションは「元気な地球に住む元気な人たち」で魅力的ですがマニフェストは政策作りワークショップの「政策ラボ」で4月をめどにつくると言っています。具体的な目標は5市議会で席を確保することと国会に入ること。短い時間で何ができるのでしょうか。, 帰ってきたら、教えてもらったホームページにアクセスしてみました。フェイスブック、そして政策のディスカッションに使われいてるソフトSlackにアカウントを作ってアクセス。自分のコンピューターは日本語を使っているから、ソフトの説明がいきなり日本語で出てきます。スウェーデン語で議論するのにとびっくりしてまずは使用言語を英語に切り替えました。日本語、フランス語、ドイツ語、などいくつかの言語はあってもスウェーデン語がないので、もしも英語に抵抗ある参加者がいればここで参加がストップするかもしれないと思いました。Slackは企業の内部コミュニケションのツールとして使われている人気のソフトのようです。, 中身を見ると、予算案、スケジュールなどなど、政党の内部が全部丸見えになっている様子。顔を合わせるようの会合はこれからもいろいろ開く予定だそうですが、この政党に参加するのにはコンピューター画面を相手にする時間が増えそうだと感じました。, この動きは本当に政党と言えるのでしょうか。政党よりも市民が共に作るシンクタンクではないかと感じました。面白い動きですが、自分が関わりたいかどうか、しばらく様子を見ることにしました。, スウェーデンは、日本と違って、選挙は定期的に行われます。衆議院解散などの突然の動きは普通ありません。さらに時期がバラバラの地方選挙ではなく、市議会、県議会、国会、すべてが同じ日です。今年は 9月9日(日曜日)が投票日となります。9月の2つ目の日曜日に決まっています。, スウェーデンの9月のはじめというと、夏の休暇から皆がもどってきていて、仕事や勉強に集中している時期です。選挙のキャンページは、暖かい季節にできるようになっています。, 国会に議席をもつ8党のシンボル。自由党(リベラル党)のシンボル「L」とクリスト教民主党のシンボル「KD」が前回の選挙以来変わっています。イラストは国会のホームページから: http://www.riksdagen.se/sv/sa-funkar-riksdagen/, 2014年の選挙の結果をこのブログで報告しました。社会民主党と環境党の連立政権ができて環境党がはじめて入閣しました。しかし弱い少数派政権でした。それでもいろいろ揺れながらなんとかここまで来ました。選挙後のころは環境よりも移民政策の議論が中心でした。その背景の1つは難民や移民の受け入れに消極的なスウェーデン民主党が国会で第3党になったことです。もう1つは2015年の間に16万人ほどの難民がスウェーデンにやってきたことです。その受け入れがなかなか大変だったので、受け入れについての意見がいろいろ全面に出てきました。, 時期については1つだけ例外があります。住民投票です。9月の総選挙と同時に行うのもありますが、別の時期もあります。ことしは、国際的にも注目されそうな住民投票が予定されいています。人口が22000人程度の小さな自治体Östhammar(エストハンマー)で行われます。ウプサラからバスで1時間ぐらいのところでバルト海の海岸に位置しています。エストハンマーは、原発の使用済燃料の最終処分場を作る予定になっています。許可申請プロセスが今最後段階に入っています。そこで市議会が受け入れを決定する前に、最終処分場の建設を受け入れるかどうかに関する住民投票を3月4日に行う予定です。, 男女平等のテーマでスウェーデンで視察訪問をすると、現状や最近の取り組み、最近の出来事や議論の話をよく聞きますが、100年前とか、もっと前のことはあまり聞きません。, スウェーデンに住んでいるといつでも無料で大学で勉強できます。日本からスウェーデンに戻って勉強を少し楽しむことにしています。この春はスウェーデンの歴史のコースをとっています。特に市民の視点から見た歴史です。一般の人はどうやって生計をたてていたか、どんな仕事、どんな働き方をしたのか。家族や人々の付き合い、住宅、家族の経済状況などです。, 100年以上前は、ほとんどの人が農業の仕事をしていました。しかし、18年代に産業化が進み、1910年のころは農業で働く人は働く人口の半分に下がっていました。当時のスウェーデンは女性だけではなく、子どももよく働いていました。, ガラス工場で働く子どもたち。「コスタ・ボダ/Kosta Boda」のブランドとして有名になった会社です。(1905年)出典リンク, 新しくできた工場での仕事は危険で厳しかったです。そのため女性と子どもをある程度守るための法律が出来ました。1833年以来、9歳以下のこどもの労働は法律で禁止されていたが、1881年に、学校を卒業していない、12歳以下の子どもを雇用することが禁止された。現在、13歳以下の子どもは基本的に働いてはいけないことになっています。そして18歳で成人になるまで、仕事の制限がいろいろあります。, 女性は、19年代のはじめ、一部の業界や夜中の仕事が禁止されました。当時、男性は稼ぐ、女性は主婦という考え方が主流でした。女性の収入は男性に比べ低かったです。このころ、女性は運動をはじめ対等な仕事に対等な賃金を求めました。, スウェーデンが参加しなかった第2次世界戦争が終わったところの1950年代、農業で生計たてている人は20%だけに下がっていました。1970年は5%に。, 戦後の産業界は成長して労働力が足りませんでした。それで女性が魅力的な労働力になって女性が次々と働くようになりました。このころ、スウェーデンの各種福祉政策も導入されました。例えば無料の給食、児童手当、3週間の有給休暇、皆のための健康保険などです。, 1950年は主婦が多かった時代として知られています。当時、女性の30%が家庭のそとで働いていました。2000年は75%でした。多くの女性が社会福祉の分野で働いています。, 今のスウェーデンでは、女性が働くのが当たり前で、逆に仕事をもっていなければ、まずは「失業者」として分類されるでしょう。日本からスウェーデンに戻ってきて感じています:仕事をもっていない人は「何もの?」と少し怪しい存在です。徹底的な個人主義と自立主義のスウェーデンでは、仕事をしていなければどうやって食べているの?と思われます。だれかに、どこかに、依存することが少し怪しげなこととして見られます。, スウェーデンは男女平等(女男平等でもいいのでは?)の国として知られていますが、まだまだ賃金の違いなど、平等ではない点がいろいろ議論されていて、政治の争点にもなります。. 今、この国の民主主義が大きく揺らいでいます。背景には何があり、どうしたらよいのか。それを解明する1つの視点として、コープ自然派奈良では、3月7日(木)、二文字理明さん(大阪教育大学名誉教授)を招き、スウェーデンの民主主義・教育・福祉について語っていただきました。 さまざまな歴史や風土をもつ世界の国々では、子どもはどんなふうに育つのでしょうか。この連載では、各国の教育や子育てで大切にされている価値観を、現地から紹介。 投票率が85%を超えるスウェーデンでは、どのようにして政治を教えているのでしょうか?このクラウドファンディングは、スウェーデンの主権者教育の教材「Prata politik!(政治について話そう!)」の和訳版の冊子化を目指すプロジェクトです。 小学校1年生で学校の設立を働きかけ、中学2年生で起業、高校1年生で母校のインターナショナルスクールを買収した23歳が注目を集めている。若き教育改革者は、現在の教育の課題はどこにあり、教育の本質はどうあるべきだと考えているのだろうか。株式会社TimeLeap代表取締役の仁禮彩香さんにインタビューした。, 世界的に安全な国として位置づけられている日本の防犯対策とは?小学生をはじめとする子どもの誘拐や連れ去り、性犯罪被害のニュースは後を絶たない。この連載では、海外の防犯対策と日本の現状、親として認識すべき安全対策、子どもへの安全教育について紹介する。第一回目は、欧米の安全教育を研究し、日本各地で未就学児から参加できる体験型安全教育を開催している清永奈穂氏に話を聞いた。, 世界的に安全な国として位置づけられている日本の防犯対策とは?小学生をはじめとする子どもの誘拐や連れ去り、性犯罪被害のニュースは後を絶たない。この連載では、海外の防犯対策と日本の現状、親として認識すべき安全対策、子どもへの安全教育について紹介する。第2回目は、欧米の安全教育を研究し、日本各地で未就学児から参加できる体験型安全教育を開催している清永奈穂氏に話を聞いた。, さまざまな歴史や風土をもつ世界の国々では、子どもはどんなふうに育つのでしょうか。この連載では、各国の教育や子育てで大切にされている価値観を、現地から紹介。今回は、カナダ駐在後、現地の生活や教育環境に惹かれ、カナダに移住した久保恵一さんに話を聞きました。, 世界中がVUCA(ブーカ=不安定性・不確実性・複雑性・曖昧性)時代に突入した現代、子どもの学校選びを考え直すべきなのでしょうか。本連載では、教育家で中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員である小川大介さんに、これからの教育や学校、受験の考え方について聞きます。, さまざまな歴史や風土をもつ世界の国々では、子どもはどんなふうに育つのでしょうか。この連載では、各国の教育や子育てで大切にされている価値観を、現地から紹介。今回は、カナダ駐在後、現地の生活や教育環境に惹かれてカナダに移住した久保恵一さんに話を聞きました。, 1995/1996年以降に生まれ、スマートフォンやSNSが当たり前にある中で育ったソーシャルネイティブである「Z世代」は、これからの時代をどう切り拓き、どんな革命を起こしていくのか。世代のギャップを超え、親自身の考え方をアップデートするため、その価値観に迫っていく。第2回は、株式会社タイミー 代表取締役で、スキマバイトアプリ「Timee(タイミー)」を開発した小川嶺氏が登場する。, 1995/1996年以降に生まれ、スマートフォンやSNSが当たり前にある中で育ったソーシャルネイティブである「Z世代」は、これからの時代をどう切り拓き、どんな革命を起こしていくのか。世代のギャップを超え、親自身の考え方をアップデートするため、その価値観に迫っていく。第1回は、株式会社arca(アルカ)代表取締役社長で、広告クリエイティブディレクターとして活躍する辻愛沙子氏が登場する。, 公園ピクニックやお外ランチにも! 子どもとのおでかけにぴったりなPascoの「超熟」サンドイッチアレンジ, 子育て中のママ・パパに向けて、「育児や仕事」「子どもの遊びや教育」「健康」などをテーマにおすすめ記事を毎日更新。子育てをさらに楽しくするアイディアを提案します!, 子育て情報メディア「KIDSNA(キズナ)」は子育て中のママ・パパに向けて、今世の中で話題のテーマや子育てに関するテーマについて、「取材レポート」を随時配信!KIDSNA(キズナ)だけでしか見られないオリジナル記事満載!取材レポートをはじめ、子育て中のママ・パパが育児や家事の合間に「私と同じ気持ちの人って他にもいるんだ!」と共感したり、子育てをさらに楽しくするアイディアを提案するメディアを目指しています。, 人口1000万人余の北欧最大の国であり、工業国・福祉国家として有名なスウェーデン。, 国連の持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)による「世界幸福度ランキング」では毎年上位に入っており、2020年度は他の北欧諸国に続き7位でした。, 1974年からスウェーデンに住み、ご自身と娘さんもスウェーデンで出産と育児を経験している高見幸子さんは、スウェーデンでは未就学児からの“民主主義教育”が特徴であると話します。, 「1998年に、保育園と幼稚園が統合して『就学前学校』となり、社会福祉省から日本の文部科学省に類似する教育省の管轄に変更。教育と保育を融合させたエデュケアを目指したシステムになり、カリキュラムができました。その中で、特に重要視されているのが、民主主義の価値観を浸透させること。, 現在では、育児休暇が480日もあり、ほとんどの親は最低1年間育児休暇をとるため、就学前学校は0歳児は受け入れていません。すべての子どもが1歳~1歳6カ月で入るようになりますが、1~5歳の85%が就学前学校に通っています。, 1クラスに15、16人、子どもの多いストックホルムでも18人程度で、先生が3人つきます。保育費の上限は1425kr(約17,000円)で、安くて質の高い保育に国は力を入れています」, 未就学児から民主主義教育を行うスウェーデンの就業前学校の多くが取り入れているのが、レッジョエミリアアプローチです。, 「1980年代ごろから各学校が決定権を持ち、中央集権的だった教育から自由度の高い教育へと転換する中で、多くの学校が採用したのがレッジョエミリア教育。, スウェーデンの求めていた民主主義と平等、そして多様性を大事にするという子ども観と合致したレッジョエミリアアプローチは、発祥の地であるイタリアよりも普及しているそうです。, 自立性・創造性・問題解決能力などを育むことに高い評価を受けているこの教育アプローチでは、子どもの主体性を重視したプロジェクトをすることで、具体的に意見の違う友だちといっしょに話し合いながら、物事を決め、協力して、プロジェクトを達成する体験をすることで民主主義の価値観を学んでいきます。, また、子どもたちの活動を文章や絵、写真などで紙に表現し記録するドキュメンテーションも行います。これは保護者が子どもたちの活動を振り返り、次の活動に発展させる役割もあります。一日2回ほど、プロジェクトを振り返りながら『どう感じた?』と思っていることを言葉にするサムリングという時間もとっています。, これらによって、子どもの意見、主体性を尊重することができ、幼児のころから自分の意見が活動に反映される体験を通して、民主主義の意味を体感として学んでいけるのです」, 「教育における学校の役割は、一人ひとりの生徒が自分の個性を見つけ、責任ある自由の中でベストを尽くし、社会に参画できるようにすること。, つまり子どもたちは、社会で起きていることをただ傍観しているのではなく、理解したうえで、自分の意見を発言することが大切なのです。, 『個人の心身の発達を目指す』という日本のカリキュラムと基本的には変わりませんが、スウェーデンでは『社会全体の持続可能な発展に貢献する』というところまで示しています。, 学校は社会の縮図。選挙前には学校で模擬選挙をしたりと、子どもたちも受け身ではなく、自ら参画するという民主主義の姿勢を教育を通して身に付けることを狙いとしています」, 「また、私が1980年代にストックホルム市で基礎学校の母国語教師をしていて先生たちのカンファレンスに出席したとき、会議の前の代表者の挨拶で『私たち教師の目標は、批判的な考えができる子どもを育てること』といわれたことが今でも強く印象に残っています。, つまり、先生の話をそのまま鵜呑みにするのではなく、まず疑って自分でそれが正しいか考えることができること。スウェーデンでは暗算ができることより、自分の考えを持ち、社会の問題を議論できることを重要視してきました。それは、民主主義社会で必要なことだからです。, もし、誰かが自分のやることを決めて、それで失敗したら、他人に決められたことだから不幸になりますが、自分の決めたことであればたとえ失敗してもそうならないはず。, だから、民主主義の社会は完璧でなくても、できるだけ多くの国民が幸せになる社会のシステムは民主主義だという考えなのです」, また一方で、スウェーデンの教育上の課題として、難民の問題があると高見さんはいいます。, 「スウェーデン語ではない母国語を学ぶ権利を持っている生徒は27%で、アラブ語とソマリア語が最も多い。新しく難民として移住した生徒は5.6%。シリア、アフガニスタン、ソマリアと、100カ国以上の言語が使われています。, そのため、イスラム教の国からの移民の子どもの結婚や家庭内暴力など宗教の問題や、難民としてきた生徒たちが中学校を卒業できないケースが多く、高校に入っても中退して失業したり、組織的な犯罪に利用されるリスクがあります。, コロナ禍においても、難民の子どもや、特別な援助を必要とする子ども、問題を抱える子どもたちにとって学校は救いの場であるということ、そして医療機関勤務者のうち、10%が子育て世代に当たることから、スウェーデンは学校を休校しませんでした」, スウェーデンが民主主義を重んじるようになった背景には、どんな歴史があったのでしょうか。, 「もともとスウェーデンはキリスト教でプロテスタントの国。牧師さんに権力があり、宗教の力がものすごく強かったんです。, 1930年代に資本主義が入ってきて、資本家と労働者の対立が起こり労働運動が盛んになりました。, その労働運動から、『国民みんなで決める』という民主主義を理念とする社会民主党が生まれました。1969年には、国民の約50%が投票。それ以前も40%台の支持を受けていました。最近では、30%前後に下がっていますが、最大の党で、スウェーデンの思想を形づくってきたと言ってよいでしょう。, しかし、『国民みんなで決める』という民主主義の考え方を支持する場合、宗教と矛盾するシーンが出てきてしまいました。たとえば、キリスト教では中絶を禁止していたり、女性は家庭を守っていたほうがよいとする考え方だったりといったことです。, 合理的に考えると、民主主義の理念を大事にしたほうがよりよい社会を築いていけるだろう。排除するわけではありませんが、国民が決める社会を理想としたときに、宗教が強いのはよくないと。, たとえば日本だったら儒教など、国には基盤というか、国民の規範、心のよりどころが必要です。それまで基盤となっていたキリスト教を除くと、その代わりとなる基盤が必要になり、スウェーデンの場合はそれが民主主義だった。だから、民主主義を取り除いたら今のスウェーデンはなくなりますよ。それくらい重要なんです、かつてのキリスト教と同じくらい。, 民主主義が社会システムとして一番優れているかどうかはわかりません。けれど、今のところ民主主義以上によい考えはないと多くのスウェーデン人が思っています。, コロナ対応でロックダウンをせず、感染防止を主導する公衆衛生庁の勧告に従い、お店は経営を続けるか、企業は社員を出勤をさせるかという判断を各人や民間に委ねたことにも表れています。強制はしない、けれど責任を持って行動しなさいねということです」, 国際プロジェクトとして行われている「世界観調査(WVS)」のイングルハート-ヴェルツェル図を見ると、スウェーデンの位置は最も右上で、飛び抜けています。, これは、縦軸が「伝統的・合理的」を表し、上であるほど合理的思考、下であるほど宗教や伝統的価値観を重んじるとされ、横軸が「サバイバル-自己表現」を表し、左であるほど経済的・物質的充足が重要視され、右であるほど精神性・自己実現の充足を重視していることを表しています。, つまりスウェーデンでは、伝統的価値観、つまり宗教や権威への服従よりも合理的であることを重視し、物質的価値よりも自己表現といった精神的自由を大切にしているということです。, 「スウェーデン人にとって選挙はものすごく重要。投票率が低いと民主主義は成り立たないと考えています。2年前のスウェーデン総選挙では、87%を超す投票率でした。国民は、投票率が80%を切ったら民主主義は成り立たないと考えているため、若者もちゃんと参加します。, 349人の国会議員のうち、65歳以上はわずか6名。18歳から29歳が25名、30歳〜49歳が一番多く201人、50歳~64歳が117名です。それだけ若い世代の声が強く、政治参加の意識も高いのです。, 比例代表制なので、投票時は政党に票を投じます。政党の党内で党首から順番に決められるわけですね。そのため政党は、半分を女性に割り当て、若者から年配者まで年齢の幅も広く候補者を挙げます。, 46%を越す高い割合で女性議員が多いのはこのためで、同時に貧富の差で政治家になれないということもなく、政治家への門戸も広く開かれています。選挙制度をとってみても民主主義の精神が表れています。, 『文句があるなら、自分の意見に沿う政党に入れればいい』『自分の意見に合う政党がなければ自分が党に入って中から変えればいい』という考え方です。, そういう社会を30年、40年と続けてきたから、当時15歳の環境活動家、グレタ・トゥーンベリの登場で成果が実証されたのではないかと思います。彼女は、学校をストライキして政治家に訴えるという方法をとりましたよね」, 2018年8月、当時15歳だったグレタ・トゥーンベリはスウェーデン総選挙までの約3週間、学校に行かないことに決めました。”Skolstrejk för klimatet”(気候のための学校のストライキ)という看板を抱え、彼女はたった一人、スウェーデンの国会議事堂の外で座り込みのストライキを始めたのです。, 記録的な猛暑と大規模な山火事をきっかけに、グレタがストライキで訴えたかったのは、スウェーデン政府がパリ協定に従い二酸化炭素排出量を削減すること。, 気候変動問題に関する国際的枠組みであるパリ協定と、スウェーデンの環境施策が一致するまで、グレタは毎週金曜日にストライキを続けると発表。その活動は”Fridays For Future”(未来のための金曜日)として、国内に留まらずグレタに賛同した世界中の若者たちに広がり大きなムーブメントを起こしました。, 「15歳の少女はなぜ、たった一人ストライキを始め、環境問題を政治の舞台に押し上げることができたのか。, それは彼女が就学前から受けてきた教育で『言いたいことがあるなら声を上げ、話し合いに参画し、行動しなさい』と教わってきたから。, ここまで何度も民主主義という言葉が出てきたと思いますが、私はやはり民主主義教育で育んだ当事者意識がグレタという環境活動家を生んだのだと思います。, 社会に影響を与えることに幼すぎるということはありません。今さえよければいいと、自分のことしか考えていない大人たちは、未来を生きる若者の将来を平等に扱っていないのではないか。大人たちの身勝手を回避し、未来を守るには民主主義しかないとグレタは言っています。, 気候変動が危機的な状況であるにもかかわらず大人たちは、見えないふりをして動こうとしない。今の若い世代が平等に扱われない、これを回避するためには民主主義しかないと彼女は言っています。だから彼女はストライキという手段で大人たちに訴え、SNSでストの参加者を募りました。, 彼女の訴えは世界中に拡散し、600万人に支持され大きな運動になると、さすがに世界中の政治家たちも目を背け続けることはできません。気候変動という深刻な環境問題を政治の舞台に押し出しました。, たとえば、8月20日に、グレタと仲間の3人の若者は、EUの議長国のドイツのメルケル首相と会談をしました。『2年経っても、政治家は気候危機を危機として扱っていない。大きな変革は現実的ではないと言うが、このままで気候変動による大破局が起きないで済むと考えることも非現実的だ』と、EUにリーダシップを取ることを求めたのです。, スウェーデンではグレタに影響を受けた人は多く、彼女に倣って飛行機に乗ることをやめたという人も(笑)。, 『No ne is too small to make a difference(誰も、変化を起こすのに、小さすぎるということはない)』, 私たちが続けた民主主義教育の成果が実を結びグレタを生んだのだと、教育者たちも彼女のことを誇りに思っています」, ※写真はイメージです(iStock.com/Nutthaseth Vanchaichana), 2020年の教育改革を目前に、進化の真っ只中を生きる現代の子どもたち。親である私たちが受けてきた教育が当たり前でなくなるこれからの時代に、子どもに必要な教育とは何なのか?この連載では、テストや成績、運動神経など従来の評価軸では計ることのできない独自の視点で子どもの能力を伸ばす、新しい「学びのカタチ」について紹介していく。第2回では、大自然に囲まれたフィールドで、親子のための“遊びの学校”を実践する原っぱ大学 ガクチョ―、塚越 暁氏に話を聞いた。, 子どもをとりまく環境が急激に変化し、時代が求める人材像が大きく変わろうとしている現代。この連載では、多様化していく未来に向けて、これまで学校教育では深く取り扱われなかったジャンルに焦点を当て多方面から深掘りしていく。今回は、憲法学者の木村草太氏に話を聞いた。, オンラインのインターナショナルスクール Crimson Global Academy 日本代表の松田悠介氏にインタビューする連載企画。最終回となる第3回は、子どもをグローバル人材に育てたい保護者におすすめしたい6冊を紹介してもらった。, 2020年の教育改革を間近に迎え、新時代を生きるこれからの子どもたち。親である私たちが受けてきた教育があたりまえでなくなるこの時代、子どもに合った最適な教育とは何なのか?この連載では、従来の評価軸では計ることのできない独自の視点で子どもの能力を伸ばす、新しい「学びのカタチ」について紹介していく。今回は、サイエンスに特化したインターナショナルスクール「Manai Institute of Science and Technology」代表、野村竜一氏に話を聞いた。, 子どもには英語教育が必要なのか、どのように英語教育を始めればよいのか悩むママも多いと思います。英語のスクールに通っても本当に話せるようになるのか気になりますよね。そんなママたちに、今回は楽しみながら効果的な英語教育が受けられる、英語のプリスクール・学童保育をご紹介します。, 子どものしつけに関しての方法やどこまで教えたらよいかなどについて、わからないと思ったことがあるママパパもいるかもしれません。正解がなく、難しく感じたりうまくいかなかったりするしつけの解決の糸口に少しでもなれるよう、体験談を交えながらしつけのやり方について考えてみました。, 高見幸子/1974年よりスウェーデン在住。1995年から、スウェーデンへの環境視察のコーディネートや執筆活動等を通じてスウェーデンの環境保護などを日本に紹介。元国際環境NGOナチュラル・ステップ・ジャパン代表。現在、ヨスタ・フロム森のムッレ財団理事、日本野外生活推進協会事務局長。幼児の自然環境教育「森のムッレ教室」の普及活動を支援している。訳書に『スウェーデンにおける野外保育のすべて: 「森のムッレ教室」を取り入れた保育』(新評論)がある。.